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2013.12.21

スタッフブログ

カムイミンタラ ~冬の旭岳~ 最終話

みなさまこんばんはkeikoです。

みなさま年末年始はどのようにお過ごしのご予定ですか?お家でお過ごしの方、海外旅行の方、温泉ホテルで家族団らんの方、お仕事の方・・・私もです頑張りましょう!

そしてニュー阿寒ホテルでお過ごしになられるお客様お待ち申し上げております。今年も年末年始とビンゴ大会、こども餅つき大会などのイベントもございますよ~♪ご家族みなさまでお楽しみくださいませ。

では引き続き"カムイミンタラ ~冬の旭岳~ 第3話"をどうぞ!

ニセ金庫岩と呼ばれる大きな岩のある9合目まで来た。目の前に最後の登りが聳えた。

カムイミンタラ ~冬の旭岳~ 最終話

風のヴェールをまとった山頭部。遠いなぁ・・・

私の体の中にある意欲のほとんどが単純になりつつあった。肩を抜ける風は勢いを増し頭上から流れ落ちた。それはまるで風の滝のようであった。その横たわるなだらかな肢体に爪をたてて登る不遜の者たちへの抵抗のようにも思えた。

ルートを進むと左側がすり鉢の縁のようになっていて足が竦むので、少し右寄りに歩いた。

バラクラバとネックウォーマーが呼吸を阻害して冷たく苦しかった。それでもあと少しだった。その一歩一歩を進みながら単純な思考は「(頂上まで行けば)もう登らなくてもいいんだ、登らなくていいんだ」と何度も繰り返した。

カムイミンタラ ~冬の旭岳~ 最終話


そして進む斜面がなくなった。着いた・・・着いた・・・ 着いたー!!!(涙) 同行者とハイタッチで労い合う。

この瞬間、北海道で一番高い場所にいた。それは一番困難な場所ということではなかった・・・

しかし今の私にはやはり嬉しかった(涙) やったー!!

カムイミンタラ ~冬の旭岳~ 最終話

山頂でも私はザックの中のD300を出してあげることができなかった。かろうじてコンパクトカメラと携帯電話。もうカメラマンではないですよ。。。我ながら呆れた。写真を撮るという余力もないのであれば、登れたことにならないのかな・・・

記念撮影をして早々に下りはじめた(同行者はずいぶん写真や動画を撮ってくれてた、感謝感謝)。ここからだ・・・と気持ちを引き締める。

よく登山番組か何かだとほとんど登頂までしか放送されない。実際は余程でなければ帰り道がある。帰り道の方が事故が多い。私はいつも『高名(こうみょう)の木登り』・・・の「・・・心して降りよ」という卜部兼好さんの言葉を思い出す。

カムイミンタラ ~冬の旭岳~ 最終話

人は山になれない。

アイヌの方々は大雪山をカムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)とよんできた。天空の大地は何と人々にとって魅力的なことか・・・

無事にデポした荷物を掘り返して下った。しかしほとんど写真を撮らなかった。撮れなかったのかも・・・涙

何かを天空に置いてきてしまったような、いや持っていかなったのか・・・何とも言えない心地。

旭岳の石室(避難小屋)まで下りてくるとやっと暖かいものが近づいたような気がした。

カムイミンタラ ~冬の旭岳~ 最終話

暖色に染まる西の空に人の暮らしの懐かしさを感じた。

今日もご訪問いただいたお一人お一人に感謝いたします。

『ありがとうございます。』

北海道釧路市阿寒湖温泉ニュー阿寒ホテル keiko